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May 17, 2023

複数の車載デバイスのデバッグとプロファイリングのためのソリューション

近年、自動車業界はいくつかの大きな変革の真っただ中にあります。 この状況により、傾向と要件に大きな変化が生じています。 コネクティビティ、自動運転、運転支援システム、電動化など、求められる機能の数と規模は年々増加しています。 ECUの高機能化、搭載量ともに増加しています。 さらに、車両の電子・電気アーキテクチャ (E/E アーキテクチャ) は、システムの複雑化に応じて進化しています。このようなシステムを制御するには、ECU を構成する複数のデバイスによる協調動作が必要です。

複数の機器の連携動作が必要な環境でソフトウェアを開発する場合、以下のような問題が発生します。

ルネサスでは、上記のようなマルチデバイス向けソフトウェア開発における課題を解決するソリューションの開発に取り組んでいます。 この投稿の残りの部分では、そのようなソリューションの 1 つである同期ログ (同期ログ) を紹介します。同期ログは、複数のデバイスで構成されるシステムのデバッグまたはプロファイリングのためのソリューションです。 このソリューションは、複数のデバイスのそれぞれで同時にどのような処理が進行していたかを理解する手段を提供します。 各デバイスの動作を理解するために、ユーザーは strace や perf などの Linux ツールを、ソフトウェアに埋め込まれたログ メッセージとともに使用します。 ログ メッセージの時刻に関する情報は、エラーが発生した時刻における他のデバイスで実行されているソフトウェアの動作を確認できるため、ユーザーがエラーの原因を特定するのに役立ちます。また、ユーザーは Linux コマンドやツールなどを使用します。各デバイスのリソース使用状況を把握する手段として、時間情報のログを出力するperf、top、vmstatなどがあります。 このようなコマンドやツールは、ログ メッセージの時刻とコマンドやツールが提供する時刻情報を同期させることで、リソースの使用状況に関する情報を分析できるため、ユーザーが特定の時刻におけるシステム負荷の状態を理解するのに役立ちます。

同期ログのシステムは、ホスト PC とデバイス上でそれぞれ実行されるトレース マネージャー ツールとトレース モニター ツールで構成されます。 デバイス上で動作するソフトウェアやツールによって出力されたデータは、トレース モニタによってホスト PC 上のトレース マネージャに送信されます。 トレースマネージャーは、複数の機器から送信されたデータを時間順に出力します。 出力データを解析することで、各機器のソフトウェアが同時にどのような処理を行っていたのか、システム負荷の重みなどを把握することができます。

同期ロギングは、R-Car S4およびR-Car V4Hの評価環境を対象に開発されました。 将来的には、同期ロギングのサポートを拡張し、次世代 R-Car 製品やその他の車載 MCU 製品も対象に含める予定です。 また、対応ツールの拡充や収集したデータの分かりやすさ表示など、機能追加や使いやすさの向上にも継続的に取り組んでいます。 マルチデバイス向けのソフトウェア開発環境にご興味のある方はこちら、サポートページよりお問い合わせください。

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